練習の合間の休憩時間。
タカオたちが台所に飲み物を取りにいったのを確認して
カイを呼ぶ。
道場の裏へ、回ったところの
枝を大きく広げた木の下へ。
Honey, so Honey
真剣なレイの表情を見て、何か大変なことでもあったのだろうかと
眉をひそめながら、レイに近付く。
内緒話をするように、カイを手招きし、
その顔に、自分の顔を近づけた。
しなやかに忍び寄った口付けに
その舌に唇を舐められたカイが、慌てて身を引いた。
「なっ・・・!」
不埒な奴め・・・
真剣な顔をしていると思って寄ってやったら、こいつは一体何を考えているんだ
そんなカイの心の声が表情に素直に表れていて
レイがプッと吹き出した。
それが気に障ったのか、何も言わずくるりと向きを変えて
道場へ戻ろうとする。
「あーぁ。カイの唇はこんなに甘いのになぁ・・・」
「・・・・!?」
謝罪するわけでもない、まったく悪びれないレイの言葉に
振り向いたカイが、
深くレイの言葉を探る前に、無意識に
思わず自分の下唇に、舌を乗せてしまい
レイの、細められた目を見て
言葉のアヤに引っ掛けられたことに気付く。
頬がかっと熱くなって
きっとガラにもなく真っ赤になっているであろうことが分かるが
どうしようもない。
ただ、そこであからさまに顔をそらしてしまうことこそが
「自分は照れている」と肯定しているようで
カイにはためらわれた。
そんなコンマ秒のカイの葛藤を手に取るように分かっていました、というように
レイが、にこっと笑いなおす。
「冗談じゃなくて、本当に甘いんだよ。
カイの唇に触れるだけで、俺はイケそうになる。」
「・・・ばっ馬鹿か・・貴・・様。」
自分の右手の甲で、舐められて、湿った唇を
守るように覆う。
そんなカイに、真剣な瞳を崩さないまま
一歩ずつ近付くレイ。
「バカでもいいよ。
カイといられるなら。」
無意識のうちにレイとの距離を保とうと
のけぞるカイに追い討ちをかける。
「でも・・贅沢を言えば、カイのその甘い唇で
もっと甘い言葉を言ってくれたらなぁ・・・。」
伏せ目がちでレイの視線から逃れていたカイのマフラーを絡めとリ、
ぐっと引き寄せる。
しまったという顔をしつつも
しまる首から逃れるように、
その圧力に逆らわず、レイの方へ2、3歩寄ったカイを
レイは嬉しそうにその腕の中につつみこむ。
風に揺れる後れ毛を触り、キスの甘さを求め、再び顔を近づける。
そこまではその行為を許していたが
レイの舌がカイのそれを執拗に求めだすと、
カイが両手をレイの腕をつかみ、阻止しようとする。
「ならお前は・・俺が『好きだ』とか『愛してる』と言えば、それで満足なのか。」
明らかに棒読みであるセリフ。
思っても見なかった言葉に
レイがうっと唸る。
「カイは俺に、甘い言葉をかけてくれないのか?
俺はいつもあんなにカイに、想いをこめて、囁いているって言うのに。」
だから軽率だとか、タラシだとか言われるんだ、
カイの鋭い視線に、レイも視線を絡ませる。
なんか、カイの考えてることが手に取るようにわかって
嬉しいような、悲しいような・・・・。
ちょっと悲しそうな目でカイを覗き込むレイの目を
遮るように、カイがレイの目の前に手を置きながら
少し迷った。
「わざわざ言う必要もないだろう。」
カイの手で視界をいっぱいにしたレイの表情が変わるのが分かる。
明らかに不満そうな顔。
「わざわざ、言ってくれよ。」
「口にしないからこそ、重みがある言葉もあるんじゃないのか?」
確かにそうだ、と頷く自分に、
それではいつまでたってもカイから愛は囁いてもらえない、と
不安げに焦るレイの彷徨う心。
カイの背に回される腕の、かき抱くしなやかな腰。
せめて、体温だけでも感じたい。
そんなレイの焦りを知ってか知らずか
「それなら・・・」といわんばかりに
レイの束ねた髪の毛をつかんで、レイの頭を近づける。
そして、心もち尖った独特のレイの耳にそっと
軽いキス―――
真っ赤になって腰砕け、
へなへなとしゃがみ込むレイを後に残して
カイはマフラーをひるがえして立ち去った。
極上のカイの唇。
俺にとって、とても甘くて、
欲しくて欲しくてたまらない、蠱惑的なその実り。
「なんか・・・花の蜜を求める蜂になった気分だ。」
そんなことを実際に言ったら
ご立腹のカイでは
殺虫剤を持ち出されかねない。
がむしゃらに唇を求めているわけじゃない
これでも、命がけなんだ。
ただ、俺はまだ、しばらく
この唇を味わうことで
満足できそうだ。
甘い話を書きたかったんです、。
レイカイの甘々が、俗にいう砂吐きな文章が書きたかったんです。
・・・なんじゃ、こりゃ?
言いたかったことはもっといっぱいあったハズなんですが・・・
此処で書いても、悲しいだけなので、もう言いません。(爆)
レイカイが好きです。
好きvという気持ちを隠さない(隠せない)レイと
その気持ちに答えたいような恥ずかしいような、
臆面もなく「好きv」という気持ちを伝えてくるレイに一泡ふかせてやりたいようなカイが好きです。
不器用でなんぼ!駆け引きがあってなんぼ!
そんなガッツで生きたいものです。
もっとステキなレイカイを!
日々、精進ですね。頑張ります。
2004.3.21