打明話







静まりかえった会場

 

一瞬後に大きな歓声がわいた

 

勝者に向けられるスポットライトと賞賛の声

 

栄光への道のり

 

 

そして

その対極に横たわる

火渡カイ

 

 

中継のカメラが我先にとブルックリンに、

そしてBEGAの看板娘のミンミンを取り巻いて

 

俺はすさまじい衝撃で弾き飛ばされた、火渡カイにそっと近付いた。

 

 

誰も彼には近付き難かったらしく

華やかなブルックリンを褒め称えながら

横目でちらちらと見るだけだった。

 

ピクリとも動かない投げ出された足。

 

念のため、首元に手をあてて、生死の確認をする。

 

 

生きてる・・・

 

 

当たり前だ・・が、

この何者にも屈しないプライドを持つこの男は

その高潔さゆえに今回の敗北で

無意識にしろ、自らの命すら絶ってしまうのではないか

 

そんな諸刃の剣のように思えていた。

同じく近付きかねていた医療班に「早くタンカを」と促す。

 

そのまま会場から運び出された。

 

素晴らしいバトルを終えた友人に賞賛の言葉を贈らねば・・・

だけど俺はそのまま会場を後にしていた。

 

 

 

 

医療部屋はやけに騒がしかった。

半ば早足に、狭いその部屋を覗く。

 

そこにはボロボロに傷ついた身体に

治療すら与えさせない火渡カイがいた。

 

 

手負いの獣に下手に手を出さない方がいい。

冗談めかして言って、

 

後は俺がやるから、と

暴れる彼に

殴られ、引っ掻かれ、とまどう関係者を閉め出した。

 

急にシ・・ンっとなった部屋で

荒い息を吐きながら身体を丸めて、火渡カイは俺を睨みつける。

目に生気が宿っていないのは一目瞭然なのに

噛み付かれそうなこの迫力。

 

これはすでにだ。

 

 

「だからブルックリンには関わるなと言ったはずだ。」

 

この声さえ、届いているのか分からない。

火渡カイの瞳は俺を映さない。

 

 

 

「俺の忠告を聞いておけば良かったんだ。」

 

治療もせずにお互い向きあって

 

 

今にも崩れ落ちそうな身体。

でも手を差し伸べはしなかった。

 

 

「お前は・・・このまま終わるのか?」

 

うつろな瞳には何の揺らめきも無い。

 

 

 

 

俺は目を閉じて、大きく息を吸い込んで

 

 

「行け。」

 

身体をずらして、ドアへの道をあけた。

 

ここできちんと気持ちを伝え、優しくすれば?

無理やりでもこの手の中に引き止めておけば?

この男は俺のところに、寄り添うのかもしれ・・・

 

いや、それは違う。

それは俺が短時間ながらでも、見てきた火渡カイではない。

 

自分のできる限りで優しく抱きしめたい衝動と

まぶしくて、その想いを表現できない手。

 

 

よろよろと部屋を出て行く、ボロボロな

でも紅い神々しい羽が見えるような背中に

伝えることの無い想いを飛ばした。

 

 

 

 

それから暫くして。

ジャスティス5の第4戦で、火渡カイは見事に復活、

スタジアムに返り咲いた。

 

負けた相手にまた挑戦するなんて、という愚かさをののしる思いと哀れみ。

それらとともに俺の胸に湧いたのは

 

これが火渡カイか、という確信と

俺が認めたのだから当たり前だ、という自惚れにも似た何か。

 

そして、より惹きつけられる心。

 

Gレボリューションにもう後がない、そんな第4戦を

彼と戦いたくなかったといったら嘘になる。

 

だが、気高く咲き誇るお前の指差す先にはブルックリンが。

 

手を伸ばしても手に入らないであろう

どんな無茶をしようとも

 

それでも惹かれてやまないその姿に

 

せめてもの手向けに一言だけ

 

 

「それではあいつが納得しないだろう。」

 

 

面倒くさそうに立ち上がるチームメイト。

さあ、戦いの場は用意された

 

見せてくれ

復活したお前の姿を

この俺の目に






はい。久々のCPはガーカイでした。
あっはっは;;
はい;;やっぱり私は、放送での実際の触れ合いと、そこに萌えを見出さないと、CP話が書けないようです。
レイカイじゃなくて、すみません;;
それもカイ様受けだけど、カイ様メインじゃないし;

ガーランドが何を考えてようが知らないわよ!あんな高飛車なやつ!!!と
切り捨ててやろうかと思ったんですが、ちょっとイメージが湧いちゃったんで捏造しました!
第47話のガーランドのセリフに、カイ様への愛を感じたんです!(無理やり;)
で、ガーランドの独白調で。
それにしてもガーランドが女々しいなぁ;;
ガーランド好きな人、ごめんなさい!

はい、お疲れ様でした。ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。
                         (裏のURLをご存知の方は、よろしければもう少しだけお付き合いください。。。)

2003.12.7

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